老朽化した空き家を前に、「解体の補助金が使えるのかもしれない」と調べ始めた方は少なくないと思います。ただ補助金の有無だけでなく、対象になる条件や申請の順番で結果が変わるため、動く前にいくつか確認しておきたいことがあります。
札幌市東区を拠点に地域情報を発信する『東区どさんこプレス』のエリア担当ライター、ハルです。わたしは、何かを調べるとき、まず「そこへたどり着くまでの道筋」が分かるかどうかを先に確認するようにしています。補助金の話も、制度名より前に「自分は対象になるのか」「どこに聞けばいいのか」が分かるほうが動きやすいと感じています。
この記事では、危険な空き家として見られやすい状態、札幌市の補助制度の対象条件、申請前に止まって確認したいこと、相談先の分け方を順番に整理します。制度の細かい条件は変わることがあるため、最終的には公式での確認が必要です。
危険な空き家として見られやすい状態
札幌市の補助制度では、「市が行う事前確認で危険性があると判断された空き家」が対象になります。築年数は関係なく、建物の状態が判断の基準になる仕組みです。
見落としやすいのが、「古いから危険」ではなく「倒壊や部材の飛散のおそれがあるか」という見方をされる点です。外壁の一部が崩れかけている、屋根材が落ちやすい状態になっている、柱や基礎に大きな傷みがある、といった状態が対象になりやすい。
札幌の冬は、積雪の重さが建物に繰り返しかかります。傷んだ屋根や外壁は、雪解けの時期に一気に状態が悪化することも。自分では「まだ大丈夫かな」と思っていても、近隣からは危なく見えているケースもあります。
雪や寒さで傷みが進みやすい札幌の空き家事情
人が住まなくなった家は、維持管理がされなくなった時点から傷みが加速します。特に札幌のように積雪が多い地域では、屋根の雪おろしが止まるだけで、数年で建物への負荷が大きく変わります。
外壁のひびから水が入り、そのまま凍結と融解を繰り返すうちに、構造部分まで傷みが広がるケースも珍しくありません。冬の管理コストが重くて手放せないまま放置、というパターンは東区でも見かけます。
落雪や外壁の崩落が近隣の敷地や通行人に影響した場合、所有者が責任を問われることもあります。「まだ当分は大丈夫」と後回しにするほど、対応の選択肢が狭まることもある。早めに状態を確認しておく価値はあると感じています。
札幌市の補助制度で先に見たい対象条件
令和8年度(2026年度)の「札幌市危険空家等除却補助制度」では、補助の種類が通常型と地域連携型の2種類あります。補助率や上限額が異なるため、どちらを見るかで内容が変わります。
| 種類 | 補助率の目安 | 上限額 |
|---|---|---|
| 通常型 | 除却工事費の3分の1 | 50万円 |
| 地域連携型 | 除却工事費の10分の9 | 150万円 |
地域連携型は、除却後の土地を5年間、町内会などの地域の自治組織に無償で貸与することが条件です。令和8年度は令和9年度以降の申請を目指す案件の協議・相談受付が中心のため、今年度中の交付を考えている場合は通常型が現実的な選択肢になります。いずれも、補助対象の工事は交付決定を受ける前に契約・着工したものは対象外になる点が、申請前に必ず確認しておきたい条件です。
補助金の前に整理したい所有者と権利関係
申請できる方は「建物所有者またはその相続人」「土地所有者(登記名義人に限る)」「札幌市が認めた方(建物所有者の親族など)」のいずれかです。
迷いやすいのが、相続が絡むケースです。建物と土地の名義が異なっていたり、共同相続で全員の同意が必要だったりすると、申請の前段階で整理すべきことが出てきます。抵当権など所有権以外の権利が設定されている場合も、権利者全員の同意が必要になります。
権利関係が複雑な場合は、補助金の相談と並行して、法務局や司法書士に登記の状態を確認しておくと動きやすいです。まず登記簿謄本を取って、現状を手元に置いておくだけでも、その後の相談がスムーズになります。
申請前に工事を進めないほうがよい理由
わたしがこの制度を調べていて最初に気になったのが、「申請前に契約や着工をすると対象外になる」という点でした。解体業者に見積もりを取ったとき、そのまま契約につながってしまうことがあるため、タイミングに注意が必要です。
補助金を使うなら、順番は次のようになります。
建物の写真・地図・本人確認書類などを建築安全推進課へ持参または郵送し、危険空家等に該当するか判定を受けます。結果が出るまで約2週間かかります。
危険空家等と判定された後、予算の範囲内で申請を受け付けます。申請期間は令和8年5月15日から9月30日まで(予算に達し次第終了)。
交付決定を受けてから工事の契約や着工に進みます。決定前の契約・着工は補助対象外になるため、順番の確認が必要です。
交付決定後、原則3か月以内に工事を完了させ、完了報告書を提出します。期限を過ぎると補助金が交付されないことがあります。
解体以外の選択肢も含めた判断の分かれ道
補助金が使えるかもしれないと分かると、解体一択で考えがちになります。ただ、解体してしまうと土地の固定資産税が上がる可能性があることも、先に見ておきたい点です。住宅用地の特例措置は、建物がなくなった時点で適用されなくなります。
売却、土地活用、解体のどれを先に考えるかは、権利関係や相続の状況、その後の土地をどう使うかによって変わります。補助金が使えるかどうかは判断材料の一つであって、それだけで解体を決めるというより、選択肢を並べたうえで確認するほうが後で迷いにくいと感じています。
相談窓口はどこで分けて見るか
補助制度の内容や事前確認の手続きは、札幌市都市局建築指導部建築安全推進課(空き家対策担当)が窓口です。札幌市役所2階8番窓口、または電話・郵送での対応も可能です。
相談の内容によって、窓口を分けて考えると動きやすいです。
- 補助制度・建物の危険性判定
-
札幌市建築安全推進課(空き家対策担当)へ
- 登記・相続・権利関係の整理
-
法務局または司法書士・弁護士へ
- 固定資産税や税務上の確認
-
市税事務所または税理士へ
- 売却・活用の相談
-
不動産会社または北海道空き家情報バンクへ
一か所で全部解決しようとすると、案内の範囲外のことを聞いて「それはここでは分かりません」となりやすい。最初からテーマを絞って持ち込むほうが、話が早いです。
制度を使いにくい・対象外になりやすい例
補助制度には、対象になりにくいケースもあります。申請前に確認しておくと、無駄な動きを減らせます。
- 交付決定前に工事の契約・着工をした場合
- 直近の売買から1年以内の物件
- 市街化調整区域内にある場合(原則対象外)
- 他の補助金をすでに使っている工事
- 法人名義での申請
- 市税を滞納している場合
- 申請者が過去に同補助金を受けている場合
「事前確認で危険と判定されれば必ず補助が受けられる」わけではなく、予算に達した時点で受付が終了します。申請期間は9月30日までですが、予算上限が先に来ることも。早めに動いておくと安心です。
費用を見るときに合わせて考えておきたいこと
解体費用は建物の構造・面積・立地・廃材の種類などによって大きく変わります。補助額の上限は通常型で50万円ですが、実際の解体費用全体を賄える金額ではないケースが多いです。
補助金以外に、相続や売却に絡む税の特例が使えるケースもあります。たとえば、相続した空き家を売却した際の「空き家の3,000万円特別控除」は、解体後の土地売却にも適用される場合があり、札幌市では関係書類の発行も行っています。
解体を前提にする場合も、費用の全体像を解体単体だけで見るのではなく、税や売却との関係を含めて考えると、判断に余白が出てきます。
近隣への影響を広げないために見ておきたいこと
空き家が「特定空家等(とくていくうかとう)」(適切に管理されていないと行政が判断した空き家)に指定されると、市が指導・勧告・命令などを行うことがあります。これは、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく手続きです。
指定される前に動いておくことで、行政との関係もスムーズになりやすい。所有者として早めに状態を把握し、相談窓口に声をかけておくだけで、その後の選択肢が変わることもあります。
ハルまず写真を撮って、現状を手元に残しておくと相談しやすいです
公式情報の確認方法と申請前の準備
補助制度の内容は年度ごとに変わることがあります。補助率・上限額・申請期間・対象条件などは、必ず最新の公式情報で確認してください。
- 札幌市公式サイト「空き家対策」ページ
- 建築安全推進課(電話:011-211-2808)
- 事前確認の依頼書(公式サイトで入手可能)
- 事前確認依頼の受付は令和8年9月16日まで
事前確認には、建物の現況写真・地図・本人確認書類・事前確認依頼書(兼判定書)が必要です。写真は建物全体と敷地が分かるよう複数枚撮っておくと、提出時にスムーズです。
調べ始めたときにわたしが最初にやったこと
補助金のことを調べ始めると、「対象になるかどうか」の前に、まず建物の写真を撮っておくとよいと気づきました。状態を記録しておくと、窓口への相談や事前確認の依頼がとてもスムーズになります。今日、建物のそばに行く機会があれば、外観を数枚撮っておくだけでも、次の一歩が具体的になります。
「補助金が使えるかどうか」は、事前確認を受けてみないと分かりません。でも、その前に「申請できる立場にあるか」「権利関係に問題はないか」をざっと確認しておくと、窓口に持っていく話がまとまりやすくなります。わたし自身、複雑な手続きは最初の相談窓口をどこにするかを先に決めると、その後の動きが楽になることが多いと感じています。
この記事が、補助制度を調べ始めた方の「最初の一歩」を少しだけ楽にする役に立てたらうれしいです。まず写真を一枚と、登記の確認、そこから始めてみてくださいね。













