国民年金の保険料を払うのが難しくなったとき、「免除にできるのか」「納付猶予とは何が違うのか」「払わないままだと未納になるのか」で手が止まりやすいものです。退職や収入減の直後なら、なおさら判断しにくいですよね。
札幌市東区で地域の手続きを調べている『東区どさんこプレス』のエリア担当、ハルです。年金の制度は名前が似ていますが、将来の老齢基礎年金への反映は同じではありません。
この記事では、免除・納付猶予・未納の違いに加えて、20歳になった大学生や専門学生の扱い、退職時の特例、札幌市での相談先まで順に整理します。
まず知っておきたい「免除・猶予・未納」の違い
国民年金保険料を納めていないように見えても、「免除」「納付猶予」「未納」は同じではありません。
免除や納付猶予は、申請して承認を受ける制度です。一方、必要な手続きをせず保険料を納めないままにすると未納になります。
| 区分 | 受給資格期間 | 老齢基礎年金額への反映 |
|---|---|---|
| 全額納付 | 入る | 全額反映 |
| 免除 | 入る | 一部反映 |
| 納付猶予 | 入る | 追納しなければ反映されない |
| 学生納付特例 | 入る | 追納しなければ反映されない |
| 未納 | 入らない | 反映されない |
ここで特に気をつけたいのは、「免除になれば、将来の老齢基礎年金も満額のまま」というわけではないことです。
国民年金保険料の免除制度とは
国民年金保険料の申請免除は、収入の減少や失業などで保険料の納付が難しいとき、申請して承認されると保険料の全部または一部が免除される制度です。
免除には、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除があります。審査では、原則として本人・配偶者・世帯主の前年所得が関係します。
申請すれば必ず全額免除になるわけではなく、所得などの状況によって審査結果が変わります。
免除でも老齢基礎年金の金額は少なくなります
申請免除の期間は、老齢基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間には入ります。ただし、保険料を全額納めた場合と比べると、将来の老齢基礎年金額への反映は少なくなります。
平成21年4月以降の免除期間については、全額納付した場合と比べて次の割合で年金額に反映されます。
| 免除の区分 | 老齢基礎年金額への反映 |
|---|---|
| 全額免除 | 2分の1 |
| 4分の3免除 | 8分の5 |
| 半額免除 | 8分の6 |
| 4分の1免除 | 8分の7 |
たとえば全額免除なら、その期間が年金額の計算から丸ごと消えるわけではありませんが、全額納付した場合の2分の1として計算されます。
ハル免除は「年金額が減らない制度」ではなく、「未納にせず一部を年金額へ反映できる制度」と考えると整理しやすいです
免除された期間は、後から保険料を追納することで、将来の老齢基礎年金額を満額に近づけることもできます。
一部免除は残りの保険料を納める必要があります
4分の3免除、半額免除、4分の1免除は、承認されたらそれで終わりではありません。免除されなかった残りの保険料を納める必要があります。
一部免除の承認を受けても、減額された残りの保険料を納めなければ、その期間は未納扱いになります。
一部免除の通知が届いたときは、「いくら免除されたか」だけでなく、「残りをいつまでに納めるのか」まで確認しておきたいところです。
納付猶予は年金額への反映がありません
納付猶予は、20歳以上50歳未満の人で、本人と配偶者の前年所得が一定基準以下の場合などに、保険料の納付を先送りできる制度です。
免除制度では世帯主の所得も審査に関わりますが、納付猶予では世帯主の所得は審査対象に入りません。
納付猶予の期間も老齢基礎年金の受給資格期間には入ります。ただし、追納しない限り、その期間は老齢基礎年金の金額には反映されません。
そのため、免除と納付猶予は「今の保険料を払わなくてよい」という点だけで比べず、将来の年金額への影響も含めて確認したいところです。
大学生や専門学生は「学生納付特例」を確認
日本国内に住んでいる人は、原則として20歳になると国民年金に加入します。大学生や専門学生なども同じです。
ただし、学生の場合は、一般の申請免除や納付猶予ではなく、まず学生納付特例制度を確認します。
学生納付特例は、本人の前年所得が一定以下の場合などに、在学中の国民年金保険料の納付を猶予する制度です。審査では申請する学生本人の所得が基準となり、家族の所得の多さは問いません。
大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専修学校などが対象に含まれますが、学校や課程によって対象条件があります。専門学校などで対象になるか分からない場合は、学校名を含めて公式情報で確認すると安心です。
学生納付特例の承認期間は受給資格期間には入りますが、納付猶予と同じく、追納しなければ老齢基礎年金額には反映されません。
つまり、20歳になった学生の場合は「免除か納付猶予か」ではなく、まず「学生納付特例に当てはまるか」と考えると分かりやすくなります。
産前産後や育児の免除は扱いが違います
ここまで説明した申請免除とは別に、出産前後には「産前産後期間の免除制度」があります。
産前産後免除の期間は、保険料を納付したものとして老齢基礎年金額に反映されます。通常の全額免除のように2分の1になる扱いではありません。
また、2026年10月からは、国民年金第1号被保険者で1歳までの子どもを養育する父母などを対象とした「育児免除制度」も始まります。この育児免除期間も、保険料を納付したものとして老齢基礎年金額に反映される仕組みです。
学生であっても、産前産後免除や育児免除など別の制度に該当する場合があります。「学生だから学生納付特例だけ」と決めつけず、出産や育児など状況が重なる場合は公式情報を確認してください。
法定免除に当てはまる人もいます
生活保護の生活扶助を受けている人や、一定の障害年金を受けている人などには、申請免除とは別に法定免除の制度があります。
「免除」という言葉が付いていても、申請免除、法定免除、産前産後免除、育児免除では条件や年金額への反映が同じではありません。
自分がどの制度に当てはまるか分からない場合は、制度名を自分で決めてから相談する必要はありません。「今は学生」「退職した」「出産予定がある」など、現在の状況を窓口で伝えるところから始めると話が進みやすくなります。
審査で見る所得の範囲も制度ごとに違います
申請免除、納付猶予、学生納付特例では、所得を確認する人の範囲が異なります。
- 申請免除
-
本人・配偶者・世帯主の前年所得が審査に関わります。
- 納付猶予
-
本人・配偶者の前年所得が審査に関わります。
- 学生納付特例
-
申請する学生本人の前年所得が基準になります。
「親と同居しているから対象外」「ひとり暮らしだから対象になる」といった住み方だけでは判断できません。どの制度を使うかによって、誰の所得を見るかが変わるためです。
退職や廃業をしたときは失業等の特例を確認
退職、倒産、事業の廃止などがあった場合は、失業等による特例を利用できることがあります。
失業等をした本人については、その人の前年所得にかかわらず免除・納付猶予を審査する特例があります。ただし、申請免除では配偶者や世帯主、納付猶予では配偶者など、ほかの審査対象者の所得が関係する場合があります。
会社員だった人の場合、失業したことを確認する書類として、雇用保険被保険者離職票、雇用保険受給資格者証、雇用保険受給資格通知などの写しが案内されています。
自営業の廃業や休止では必要書類が異なる場合があります。手元の書類だけで足りるか分からないときは、申請へ行く前に確認しておくと二度手間を避けやすくなります。
- 相談したい国民年金保険料の対象月
- 基礎年金番号が分かるものやマイナンバー関係書類
- 退職日や廃業日が分かるもの
- 離職票など失業等を確認できる書類
退職した人は「自分が免除になるか」だけでなく、「失業特例を使う場合に何を持っていけばよいか」を聞くと確認しやすくなります。
過去の期間も申請できる場合があります
免除・納付猶予は、保険料の納付期限から2年を経過していない期間について申請できます。申請時点から見ると、おおむね2年1カ月前までさかのぼって申請できる案内になっています。
学生納付特例についても、納付期限から2年を経過していない期間は、さかのぼって申請できる場合があります。
ただし、具体的に何月分まで申請できるかは申請日によって変わります。また、病気やけがが起きた後に過去へさかのぼって申請しても、障害基礎年金の保険料納付要件の判定に間に合わない場合があります。
「しばらく様子を見てから」と考えている場合でも、納付が難しい状態が続きそうなら、申請できる期間だけは早めに確認しておきたいところです。
免除や猶予の期間は後から追納できます
免除、納付猶予、学生納付特例の承認を受けた期間は、一定の範囲で後から保険料を追納できます。
追納すると、免除期間なら老齢基礎年金額を満額に近づけることができ、納付猶予や学生納付特例の期間なら、追納した分を老齢基礎年金額に反映できます。
追納できる期間や、時間が経過した場合の加算額などにもルールがあります。「今は払えないけれど、将来余裕ができたら払いたい」という人は、承認通知などを保管しておくと確認しやすくなります。
札幌市で相談するなら住所地の区役所か年金事務所
札幌市では、住所地の区役所にある保険年金課年金係で、国民年金の加入や免除などについて相談できます。日本年金機構の年金事務所も相談先です。
東区に住んでいる人なら、東区役所保険年金課年金係が身近な窓口です。年金事務所では、東区・白石区・豊平区が札幌東年金事務所の担当区域になっています。
| 住んでいる区 | 担当の年金事務所 |
|---|---|
| 東区・白石区・豊平区 | 札幌東年金事務所 |
| 中央区・南区 | 札幌西年金事務所 |
| 北区・西区・手稲区 | 札幌北年金事務所 |
| 厚別区・清田区 | 新さっぽろ年金事務所 |
札幌市役所本庁舎では、国民年金の加入・免除などの手続きはできません。区役所へ行く場合は住所地の区役所を確認しておくと迷いにくくなります。
受付時間や必要書類は変更される可能性があるため、出かける前に札幌市や日本年金機構の公式ページで最新情報を確認してください。
窓口へ行く前は3つだけ整理しておく
免除か納付猶予かを自分だけで決めてから窓口へ行く必要はありません。まずは、自分の状況を説明できるようにしておくほうが話を進めやすくなります。
納付書などを見て、何月分から支払いが難しくなったのかを確認します。
「退職した」「収入が減った」「20歳の学生」など、相談のきっかけを書きます。
基礎年金番号が分かるものや、離職票などがあるかを確認します。
全部そろっていなくても、何が手元にあるか分かれば相談はしやすくなります。不足している書類があれば、その場で次に必要なものを確認できます。
迷ったら「将来の年金額まで含めて」確認する
国民年金の免除と猶予は、今月の支払いをどうするかだけの制度ではありません。将来の老齢基礎年金額への反映にも違いがあります。
申請免除なら年金額に一部反映され、納付猶予や学生納付特例なら追納しない限り年金額には反映されません。一方、産前産後免除や2026年10月開始の育児免除は、保険料を納付したものとして年金額に反映されます。
名前だけを見ると似ていますが、扱いはかなり違います。
まずは「何月分について困っているか」「学生・退職・出産など今の状況は何か」の2つを整理して、住所地の区役所や年金事務所へ相談するところからで十分です。制度の条件や必要書類は変わることがあるため、申請前には日本年金機構や札幌市の公式情報も確認しておきましょう。













