「今日、雪虫が飛んでいたよ」
子どものころ、そう親に話すと「じゃあ、もう少しで雪が降るかもね」と返されることがよくありました。北海道で育った私にとって、雪虫は虫の名前というより、そろそろ冬が来ることを家族で話すきっかけだったように思います。
大人になった今でも、10月中旬を過ぎるころに白い綿をまとった雪虫を見かけると、あの会話を思い出します。地元のテレビニュースでも、秋が深まる時期になると雪虫が飛ぶ映像が取り上げられることがあります。
東区どさんこプレスのエリア担当、ハルです。雪虫を見ると「もうすぐ雪」と感じますが、本当に雪虫が飛んでから一定の日数で初雪になるのでしょうか。
札幌で見かける雪虫の正体や初雪との関係を、2025年の具体例も振り返りながら見ていきます。昔からの季節の感覚は楽しみつつ、冬支度をいつ始めるか考える材料にしてみてください。
雪虫を見ると「そろそろ雪」と思う札幌の秋
雪虫を見ると「もう少しで雪が降る」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。私自身は子どものころから、雪虫を見たことを親に伝えると、自然に雪の話になっていました。
札幌では雪虫が飛ぶ秋と、初雪が観測される時期が近くなります。札幌の雪の初日の平年日は10月28日です。10月に雪虫を見かければ、「そろそろ冬だな」と感じるのも不思議ではありません。
ハル「雪虫を見たよ」「じゃあ、そろそろ雪かな」。子どものころは、そんな会話が冬の始まりでした
ただし、雪虫が飛んだから何日後に雪が降る、と決まっているわけではありません。雪虫の季節と初雪の季節が近いことと、実際の天気予報は分けて考えておくのがよさそうです。
札幌で見かける雪虫の正体とは
札幌市博物館活動センターでは、雪虫として知られる代表的な虫として、アブラムシの仲間であるトドノネオオワタムシを紹介しています。
体のまわりに付いている白い綿のようなものは雪ではなく、体から出るロウ物質です。この白くふわっとした姿が、雪を連想させます。
一方で、「雪虫」は一種類の虫だけを指す名前ではありません。初冬に飛ぶ白いアブラムシの仲間をまとめて雪虫と呼ぶことがあり、街なかで見た虫をすべてトドノネオオワタムシと決めつける必要はありません。
- 白い綿のようなもの
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雪ではなく、虫の体から出るロウ物質です。
- 雪虫という名前
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一種類だけを指すとは限らず、白い綿をまとって飛ぶアブラムシの仲間を雪虫と呼ぶことがあります。
秋に飛ぶのは雪を知らせるためではなく木を移るため
トドノネオオワタムシは、夏のはじめにヤチダモからトドマツへ移り、夏を過ごします。そして秋の終わりになると、再びヤチダモへ移動します。
私たちが秋の空で見かける雪虫は、この移動の途中の姿です。
つまり、雪虫が飛ぶ直接の理由は「もうすぐ雪が降るから」ではなく、虫自身の生活のサイクルにあります。
雪虫が飛ぶ時期と札幌が冬へ向かう時期が重なるため、私たちの暮らしの中で「冬の使者」として受け止められてきたと考えると分かりやすそうです。
札幌の初雪は平年10月28日
札幌管区気象台が公表している札幌の雪の初日の平年日は10月28日です。
気象庁でいう初雪は、寒候年に初めて降る雪で、みぞれも含まれます。そのため、「初雪が観測された日」と「道路に雪が積もった日」は同じとは限りません。
2025年の札幌では、雪の初日は10月23日でした。平年より5日早い観測です。
一方、日最深積雪が1センチ以上となった「積雪の初日」は11月8日でした。初雪を観測してから、実際に1センチ以上の積雪が記録されるまでには間があります。
| 見たい時期 | 札幌での記録 |
|---|---|
| 雪の初日の平年値 | 10月28日 |
| 2025年の雪の初日 | 10月23日 |
| 2025年の積雪の初日 | 11月8日 |
2025年は9月末にも雪虫が話題になった
地元のテレビで雪虫の映像を見ると、「今年もこの時期が来たな」と感じる人もいるかもしれません。
2025年9月29日には、札幌市中央区の知事公館で雪虫が飛んでいる様子が地元テレビで報じられました。
この9月29日から、札幌で初雪を観測した10月23日までは24日あります。早い時期に雪虫を見たからといって、一週間ほどで必ず初雪になるわけではなかったことが分かります。
一方、10月16日午後からは北海道で雪虫の目撃報告が増え、札幌市内や周辺からも多くの報告が寄せられました。10月16日から10月23日の初雪までは7日です。
- 9月29日に報じられた雪虫から初雪までは24日
- 目撃報告が増えた10月16日から初雪までは7日
- どの日を「雪虫を見た日」とするかで、初雪までの日数は変わります
「雪虫を見たら一週間後に雪」とは言い切れない
子どものころの「雪虫が飛んでいたよ」「じゃあ、もう少しで雪かな」という会話は、今でも秋になると思い出します。
ただ、その「もう少し」が何日なのかは年によって変わります。
初雪の日は、寒気の入り方や降水など、そのときの気象条件によって決まります。雪虫のほうも、最初の一匹を見つけた日なのか、あちこちで飛ぶようになった日なのかで基準が変わります。
雪虫は「初雪まであと何日」と数えるためのものではなく、冬が近づいてきたことを感じる季節の合図として受け取るくらいがちょうどよさそうです。
雪虫を見かけたら冬支度を思い出す合図に
では、雪虫を見たら何をすればよいのでしょうか。
初雪の日を予想するより、「冬の準備、どこまでやったかな」と思い出すきっかけにすると生活には取り入れやすくなります。
一匹二匹なら「今年も秋が深まってきたな」くらいに受け取ります。初雪の日をすぐに決める必要はありません。
札幌の週間天気予報を確認し、朝晩の冷え込みや雪の予報がないか見ておきます。
車を使う人ならタイヤ交換、冬用ワイパー、ウォッシャー液など、必要な準備を確認します。
車を使う人はタイヤ交換の予定も確認
札幌で車を使っていると、秋が深まるにつれて気になってくるのがタイヤ交換です。
雪虫を見かけた日に急いで交換しなければならないわけではありませんが、いつ交換するかまだ決めていなければ、予約状況を確認するきっかけにはできます。
タイヤと一緒に、冬用ワイパーや寒冷地向けのウォッシャー液、解氷用品なども見ておくと、一度に慌てて準備せずに済みます。
実際に雪が降りそうな日は、雪虫ではなく最新の天気予報や道路情報を確認して判断してください。
子どものころの会話は、今では冬支度の合図に
子どものころは、雪虫を見つけると「もうすぐ雪が降るらしい」と少しわくわくしながら親に話していました。
今は同じ雪虫を見ても、「タイヤはいつ替えよう」「冬用ワイパーは出したかな」と、大人らしいことを考えるようになりました。
雪虫から初雪までの日数は、その年によって変わります。それでも、秋の空を白い虫がふわふわ飛ぶ姿を見ると「そろそろ冬だね」と話したくなる感覚は、北海道での暮らしの中に残っています。
雪虫を見かけたら、昔からの季節の話を楽しみながら、札幌の最新の天気予報も一度確認してみてください。初雪の日を当てるためではなく、冬を迎える準備を思い出すには、ちょうどよい合図になりそうです。













